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中小企業診断士が「AI」「パン」「補助金」について語ります

農水省「スマート農業総合推進対策事業」の予算が3倍

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1.スマート農業総合推進対策事業:1,500百万円(昨年505百万円)

 

去年から予算が約3倍増。凄い。対策のポイントを引用します。

<対策のポイント>
スマート農業を総合的に推進するため、先端技術の現場への導入・実証や、地域での戦略づくり、科学的データに基づく土づくり、教育の推進、農業データ連携基盤(WAGRI)の活用促進のための環境整備等の取組を支援します。

 スマート農業とは?WAGRIとは?

1-1.スマート農業とは何か

ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業を実現

こういうのがあっても良いですよね。自動走行トラクタで隣の山田さん家の田んぼは全部ロボがやっている、という感じ。夢があっていいですよね。

1-2.農業データ連携基盤(WAGRI)

農業の担い手が、データを使って生産性の向上や、経営の改善に挑戦できる環境をつくるために、データの連携や提供機能を持つ「農業データ連携基盤」(通称:WAGRI)を構築。
今後、生産現場での活用に加え、流通から消費まで連携を拡げ、
多くの分野からの参画をいただくため、平成29年8月に「農業データ連携基盤協議会」(通称:WAGRI協議会)を設立しました。

何やら収量予測も将来的に出来るようになる情報基盤のようです。夢の情報基盤。

さてスマート農業総合推進対策事業に戻りましょう。

<政策目標>

農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践[2025年まで]

 ぐえーこれはハードル高すぎじゃないでしょうか。

2.考察

予算を入れて農家が高度にIT化する事自体は否定しません。良いことだと考えます。農業系の勉強会に参加すると「あと5年位したら営農が難しくなる農家ゴロゴロいるよ」とのこと。農業現場の高度IT化は待ったなしでしょう。

但し、正直な所、高度にIT化された営農環境を活かせる高度農業IT人材不足していると思います。ヒューマンスキルが置いてけぼりになっている感があります。高度なITを使いこなせる営農者の育成が遅れている。

これを聞いてドキッとした営農者の皆さんは少なくないと察します。クソ忙しいのにこれ以上AIダーIoTダーなんて無理無理、分かります。多分農水省もそこまで放ったらかし構想ではないと考えます。

では誰がITを運用していくか。シナリオは何個か考えられます。例えば新たな事業機会を探す大手Sier、元々農家と資材取引のある商社の情報部門などが候補として挙げられますが、ITは事業者が主体性を持って管理運営していかないと無いと使い物になりません効率化どころか非効率になりうる話。

ITを入れるメリットは可視化にあって、その可視化された数値を元に経営改善施策を打ち、作物のバランスを数字で客観的に捉え、効率化につなげるのがセオリー。だから主体性を持って導入したITを使いこなせる程度のIT知識は農家にとって必要

結局営農者は今も事例があるように、「銀行出身」の農家に資金繰りや経営計画を、「Sier出身」の人にAIとかIoTを担当させて、これから迫るITベンダーと四つ相撲が取れるようにゆるーく組織化しておく必要があるでしょう。

 

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