中小企業デジタル化応援隊事業が流行らない3つの理由
中小企業デジタル化応援隊の出足が鈍いという噂を関係者から聞きました。
家賃支援給付金や雇用調整助成金のように、窓口殺到、事務局パンク、という自体こそ稀なので、この不調な事自体、何ら疑問符の付くところではありません。
とは申しましたものの、補助金が不調な原因は必ずあります。本来は事務局や予算立案側のご意見も頂戴したい所ですが、まずは使ってみての感想を述べさせていただきます。
1.中小企業デジタル化応援隊事業とは
全国の中小企業・小規模事業者のさまざまな経営課題を解決する一助として、デジタル化・IT活用の専門的なサポートを充実させるため、フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を「中小企業デジタル化応援隊」として選定し、その活動を支援する取り組みです。
ポイントは以下の記事にまとめました。
1-1.中小企業の経営課題をITで解決すること
今話題になっている契約印の撤廃に向けた「電子契約の推進」も含まれている。テレワーク・オンライン会議導入からEC開発といったメジャーなメニューから、AI、デジタルマーケティングツールから入退室管理、クラウドファンディング支援まで幅広い。
1-2.IT人材を「兼業/副業人材」「フリーランス」を含むこと
「兼業/副業人材」を加えたのが先進的な本補助金。Sier大企業では副業容認が一般的になっていますが、大企業で培ったITノウハウを中小企業に還流させる流れが見えます。
1-3.コンサル費用の3,500円上限を、本事業が負担すること
最低限、中小企業が負担すべき金額が500円。なのでIT人材は4,000円の時給で副業/兼業する事が出来る。中小企業はワンコインで優秀なIT人材に経営課題の解決に向けた相談が出来るということ。
2.考察:なぜ不調なのか
かなりメリットが大きく、今まで中小企業からはコストの問題もあって声が掛けにくい 大企業のIT人材をもワンコインで使えるとあって、この補助金自体の設計は素晴らしいと思います。
但し悲しいかな以下の原因で不調ではないのかと察します。
理由1:[補助金]知名度が無い
私が「デジタル化応援隊事業」を知ったのは、とあるセミナーで地方の経済産業局の方からお伺いしたのがきっかけ。広く世間に知られている補助金ではない。
もうちょっとマスコミも取り上げればよいのに、と思うこともある。但しIT専門家と事業者だけの話で、一般大衆には関係ないからかな。
ただちょっとナンセンスかな。日本の労働人口の5割以上は中小企業の事業主か従業員で、ITに苦労していない人なんていないはずなのに。番組企画力が試されている。
いずれにせよ、知名度が無く補助金の入り口にすら立ってもらえていないのが、補助金が流行らない一番の原因かと。
理由2:[IT専門家]中小企業との縁が無い
もしIT人材が縁あって「IT専門家」として登録したとしましょう。
しかし皆さんにはお仕事相手の縁もなければ、直ぐに仕事はできません。
既にITに困っている中小企業との縁が必要なのです。
事務局がマッチングして頂ける仕事には限りがある。
登録するIT専門家は「既に顧客を抱えている」IT人材。
ITコーディネーターやITに強い中小企業診断士が対象になります。
新規のIT人材は、顧客を持つという高いハードルを超える必要があります。
理由3:[中小企業]どこの馬の骨がくるか分からない不安
中小企業からすると、顔も声も聞いたことがない人材がズカズカとやってきて、専門用語を振りかざす。口を開けば「ペイン」だの、「ペルソナ」だの。鬱陶しいことこの上ない。そんな人はお断りです。
思いやりがあって、しっかり会社のITの悩みを聞いて解決してくれる人材が欲しい。
そんなジレンマが中小企業の出足を鈍らせている感じがします。
私は幸いお客さんがおり、スムーズに行きました。
縁が無いIT人材or中小企業はリスクを承知の上、積極的に打って出ると吉かもです。