「してはいけない」逆説ビジネス学(プロレスラー川田利明 著)読了
本屋に行くと「成功しました!」的なサクセスストーリー本が溢れている。
その中で自らの失敗を語り、耳目を集めているのが、今日読んだ本 。
ポイントを3つに絞って本書の良さを伝えます。
開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学
- 作者: 川田利明
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2019/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1.日本に珍しい失敗学的な本であること
「俺は成功談より失敗談のほうに価値があると考えるし、失敗は何よりの参考書であると思う」
ビジネスの基本は経営に影響しない程度の失敗を積み重ねて、ビジネスの精度を高めていくことだと私は思っているのですが、川田氏は経営に影響する失敗を積み重ねてビジネスの精度を高めているのが素晴らしく、赤裸々に語っているところが素晴らしい。
あまり内容を語ると著者に迷惑なので控えるが、「俺だけの教訓10箇条」のその2は接客業界全ての人が細心の注意を払うべきポイントなので、そこだけでもこの本に金を払う価値があると考える。
2.10年の積み重ねによる経験談であること
サクセスストーリー本も極まると「成功しました!」の定義がが怪しくなる。
特に時間軸が怪しい。
法人登記して2~3年でまだ最終赤字、まだ事業拡大中なのに「うちの会社はこんなにすごい!」と本にまとめてくる経営者の方が該当する。誰がどんなベネフィットを得てほしいと思って書いているのか。薄っぺらい。ペラペラ。
一方川田氏はラーメン屋だけでも10年の積み重ね。それに加えて四半世紀以上のレスラー経験がズシっと重い。
私と同世代のプロレスファンで、「キックの鬼」「デンジャラスK」の名前を知らないファンはモグリであるだろう。私は新日本プロレスファンだったけど、全日本プロレスの川田を勿論知っていたし、故三沢氏がプロレスリング・ノアを立ち上げた時に結構な数の有力レスラーが三沢氏に同調して全日本を去り、全日の屋台骨が揺れる中、川田氏は高校時代の1個先輩である故三沢氏に同調せず全日本に残り続けた気骨の士。
「ほとんどの人は、会社に守られているという感覚があまり無いと思う」という言葉はとても重い。私も中小企業診断士の活動をする中で、看板の重要性を少しずつ感じている。この言葉の重みはぜひ感じてほしい。
3.ラーメン屋を薦めていないこと
「『こんなに大変なら、やっぱりラーメン屋になるのはやめよう』と思ってくれる人がいた方が、俺はいいと実は思っている。」
川田氏は本書の中でラーメン店起業を薦めていないが、行間を読むと飲食店全般の起業を薦めていない。私も同感で、日本はラーメン店を始めとして、飲食店の数が多すぎるのは業界構造上問題だとも考える。
ニーズが縮小しているのも見逃せない。日本の胃袋は少しづつ小さくなっていくのに、飲食店だけ増えても無理があるのは当然ではないか。
以上です。今度「麺ジャラスK」出張ついでに行ってみようかな~。