空飛ぶITコンサルタント

中小企業診断士が「AI」「パン」「補助金」について語ります

工場ではクビになり、農村では人が不足する「技能実習生」制度は柔軟な運用が急務である

1.工業は技能実習生が余っている 

技能実習生制度は「国際貢献を目的としている制度」です。ご存知ですか。

開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を 担う「人づくり」に協力することを目的とする制度として、我が国の国際貢献 において重要な役割を果たしています。https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000167113_5.pdf

 

日本のマスコミが「技能実習生」を報道する時は、こんな高尚な目的はあまり語られませんから、「え?国際貢献を目的とした制度なの?」となっても不思議ではありません。

たいてい、技能実習生について報道する際は、その就労環境の酷さ、給料の低さをアピールして、泣きじゃくる技能実習生をVTRに流して終わり、といった典型的な型で語られることが多いからです。まったく...

話は元に戻しますがコロナウイルス禍の中、マイノリティである「技能実習生」が雑に扱われているのは嘆かわしいことです。
news.j-wave.fm

 

2.技能実習生に頼っている農村は人不足

一方、農村というか比較的地方、つまり田舎では「技能実習生」が不足するという逆転現象が起きています。こちらは外国人の技術実習生が事実上の国境封鎖で来日できていないからなのですが、技能実習生の本来の目的である「国際貢献を目的としている制度」からするとひっくり返るような状況です。技能実習生に頼っちゃってるもん

www.nikkei.comここまで説明すると、「人が余っている工場から、人が足りない農村へ、技能実習生を回せば解決するじゃん」と誰もが思う所。

しかし残念。制度上、来日時に目的として提出した技能の「分野」以外の技能にホイホイ移動することはできません

 

以下の資料にもあるのですが「技能実習生は転職の自由が無い」事を制度上の問題点として挙げています。2018年に。

kenbenren.www.k-chuolaw.com

 

3.考察

外国人技能実習生制度の専門家ではないのですが、1点。

このような災害等の緊急時には制度を柔軟に運用できるような条項の追加であったり、国会で迅速な議事の元、適切な時限立法等の素早い対策をしなければ、日本の評判悪化につながることは間違いないでしょう。

考えてみましょう。

コロナウイルスが収まった後「はい、もう大丈夫です!来日宜しく!」と言って、外国人技能実習生は戻ってくるでしょうか?出足は鈍いでしょう。

このコロナウイルス禍で酷い扱いをされた外国人技能実習生は母国でありのままを語ります。つまり「ニホンに行ってヒドイ目ニアッタヨー」的な話です。

この「ニホンに行ってヒドイ目ニアッタヨー」 を少しでも弱めるために、転職の自由等を一時的に認めるなど、柔軟な制度運用が必要でしょう。

現に一部農家では作付を減らす営農計画が出てきているわけですから。大問題。

www.tokyo-np.co.jp

以上です。

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