残業低減だけが生産性向上策ではない。ドラッガーに学ぶ生産性の意味
子供と公園に行きました。
GWで客も多く、ケージにいるウサギ、モルモットは飽食運転。家から持ってきた美味しいニンジンを与えても見向きもしません。この状態は「供給 > 需要」ですね。久々にドラッガーのマネジメントを思い出しました。今日は注目したのは、定量的に測り憎い生産性の話。
- 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本
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生産性とは数字だけが全てではない
生産性の向上こそマネジメントにとって重要な仕事の1つとドラッガーは説きます。
残業低減を至命題とするラインマネージャーは間違っていません。残業を減らして人件費を削減すれば、簡単に生産性は伸びます。
但しドラッガーは財務諸表で見えるコストだけが生産性ではないとも説きます。残業低減一辺倒だと、生産性の向上に限界があることを如実に示しています。
さて世の中のラインマネージャーの皆様、どのような生産性向上策を打ち出しているでしょうか。
生産性に影響を与える6要因
1.知識
最も高価な資源である。
正しく適用した時、最も生産的な資源となる。
有識者・専門家を集めることがが生産性への第一歩だと説きます。
異業種から転職したての方では生産性は上がらないでしょう。
2.時間
時間は最も消えやすい資源である。
人や機械をフルで使った時、半分しか使わなかったときでは生産性に大きな差が生ずる。
これは反論の余地がありません。
3.製品の組み合わせ(プロダクトミックス)
製品の組み合わせとは資源の組み合わせでもある。
最適な製品の組み合わせが、企業の売上と利益を最大化する事を示しています。
4.プロセスの組み合わせ(プロセスミックス)
部品の内外製:部品を買うか、自社で内製するか。
製造の内外製:製造を外部に任せるか、内製するか。
販売の内外製:流通業の販売網、ブランドに任せるか、自社の販売網を構築するか。
ここがマネージャーの腕の見せ所でしょう。ケースバイケース。
5.強み
それぞれの企業とそのマネジメントに特有の能力を活用し、特有の限界をわきまえることも生産性を左右する。
強みを正しく認識することが、強みの活用と限界を知ることにつながると説きます。
6.組織構造の適切さおよび活動間のバランス
組織構造が不適切な為に、マネジメントが自らなす事を行わなければ、マネジメントという起業にとってももっとも希少な資源が浪費されることになる。
翻訳が少々わかりにくいですが、組織がしっかりしていないとマネジメントもうまく行きません言っているだけです。
トップマネジメントがマーケティングに関心を寄せるべきであるにもかかわらず、技術にしか関心を示さなければ生産性は低下する。
日本のIT業界は逆が多いような気がします。
理念が技術志向であり、技術で業界をリードし、顧客の需要を的確に掴んだ企業が、現在のGAFAだと考えます。
国内の伝統あるIT企業はマネジメントに偏りすぎている気がします。ここに人月商売の弊害が臭ってきます。人月商売なら技術など最低限でいいですからね。
まとめ
日本の人口は減り始めるのに、株式会社はゴーイングコンサーンと成長を命題とされている以上、生産性向上は避けて通れない壁です。
IT業界において私が考える「生産性向上」の障害は、人事制度が「相対評価」である為だと考えています。
同じレイヤーの社員と協力せず、縦のつながりばかり大事するあまり社内派閥が出来、団結が必要な時に団結出来ず、利己主義にならないと自分のボーナスが低くなる制度では、生産性向上に必要な社内業務改革は目指せません。よい生産性向上策で成果を出してもノウハウの出し惜しみをする話を聞くと悲しくなります。うーん。
中小企業診断士として中小企業様に企業診断する時、経営問題は「コミュニケーション」「人事制度」「組織」に収束することが経験上多いです。生産性向上についてもノウハウを出し惜しみする輩の評価を下げ、「コミュニケーション」を活性化した要員を評価する「人事制度」に変更し、「組織」をコミュニケーションしやすいように再編する事こそ、生産性向上の近道であると考える所です。