空飛ぶITコンサルタント

中小企業診断士が「AI」「パン」「補助金」について語ります

会員統合(顧客統合)について(前編)

CRMを導入する企業だけではなく、システムを更新しようとする企業について悩みの種となるのが、複数のシステムにある複数の会員情報、顧客情報ではないでしょうか。

私は結論として「会員統合は、統合ルールを定めて、顧客に任せる仕組みづくりが必要」と考えます。

今回は、BtoCの会員統合、顧客統合について考えます。

こんなことないかもしれませんが

例えば、自前のECサイトを持っていて、販売拡大のためにショッピングモール型ECサイトに参加、SNSブームが来たので会員コミュニティを立ち上げ。

会員情報を持つシステムが複数社内に存在する状態が出来上がり、システム間連携にコストがかかる状態が付いて回ります。

ただビジネスを取り巻く環境は止まるところ知らずで加速しっぱなし。会員の情報は一方が追加すれば他のシステムにも伝播させる必要があり、複数のシステムに同じような「伝播機能」が実装。メンテナンス性も低下します。これはいけません。

しかし、どうしていいか分からない。メンテナンス性が低いからシステム投資するような案件は社内の稟議が通らない。だったらOne to Oneマーケティングを目指してCRM導入、ついでに会員統合もしてしまおう。これが会員統合が課題として発生する仕事の流れではないでしょうか。

B to Cの会員統合は一筋縄ではいかない

答えは簡単です。B to CでECサイトを展開している小売業は、大抵顧客データは顧客のメンテナンスに依存しているからです。会員統合についても然りで、田中さんの会員情報Aと会員情報Bを統合しましょう、となっったとします。この際、個人情報のような機微な情報どちらを生かすか、は顧客が決めることで企業側が決めることではないからです。

B to Bであれば、2つある顧客情報を統合する際は、「名寄せ」がよく使われる手法と考えます。企業サイドからすれば、どちらの情報が使われてもサービスの質には関係ないですよね。B to Bで顧客(つまり企業)が自分の情報を更新するという話は聞きません。大抵は御用聞きの営業がその辺はこなします。

B to Cはどちらの顧客情報を使うかは、名寄せのような機械的な仕組みでフォローできる問題ではありません。

たとえ話をしますと、全く同じ鈴木さんが会員Aと会員Bの情報を持っています。機械的な仕組みではこれは両方同じとみなし、ルールによって会員Aを生かす等の判断がされます。

しかし鈴木さんからすれば、会員Bの情報を登録した際に、今の伴侶となる方と一緒にお店で会員登録した思い出があるから、会員Bを生かしたい希望するとします。これは機械的な名寄せはお手上げとなります。

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会員統合は、顧客に任せる仕組みが必要

B to Cの会員統合は、機械的にできる内容ではないことがご理解いただけたと思います。無理やり名寄せで、難しい部分はイレギュラー対応ということも可能でしょう。ただし会員数が多くなってきた場合、10万から100万件単位で顧客情報を保持している企業だと、客に任せる方が低コストであると考えます。もしかすると吉田さんは、2つの会員情報を独自のルールで使い分けているかも知れません。

 

次回は、具体的な統合ルールについてお話しします。