会員統合(顧客統合)について(中編)
会員統合の中編です。
前回はECシステムの会員統合は、ユーザに任せるとの話をしました。
ただし、ある程度システムでルールを定めて、自動的に会員の情報を統合する事も出てくると考えます。
中編では、会員情報の分類分けと、統合ルールの整理を行います。
会員の情報種類って?
一般的なB to C業態、かつFSP(ポイントプログラムですね)を展開している企業であれば、以下の情報が会員に関連する情報です。
1.基本情報(住所や生年月日、Mailなど機微な情報)
2.拡張情報(いつ入会したか、どの店舗で入会したか、等業態に合わせて基本情報を拡張する情報。基本情報とは1:1の関係)
3.従属情報(メールマガジンは何を読んでいるか等、会員が複数選択出来る情報。基本情報とは1:n)
4.履歴情報(会員の購買情報のような蓄積する情報。基本情報とは1:n)
5.サマリ情報(会員の年間購買額や月別購買額など、履歴情報を元に計算される情報。基本情報とは1:1だが、集計単位ごとに分かれる。月別サマリなら、会員情報と1年で1:12になる。)
6.ログ情報(会員がマイページなどで自らの情報を変更した際のログ情報)
7.高揮発性情報(ログインセッションなど、恒久的に保持しない情報)
会員自身に選ばせる情報とは?
1.基本情報と2.拡張情報の一部です。選ばせる情報は、会員が企業を利用する前からの情報で、必然と機微な情報、個人情報となります。システム側ではどちらを選択するか判断できない情報です。
逆に、企業を利用した後に発生した会員情報は、元々は企業内のルールに則って付与された情報ですので、会員統合に際しても、ルールに則って統合すべきです。
統合のルールは4つしかない
イ.選択
選択は、会員自体が選ぶ手動選択と、システムが選ぶ自動選択に分かれます。
自動選択は「会員に損をさせない」がポリシーになります。例えば入会日は、より過去日を選ぶのがセオリー。より歴が長い会員に有利なセールや施策を打つ事が多いからです。
ロ.付替
付替は、統合先の情報になるように、自動的に統合元の情報を付け替えることです。
例えば、会員番号1番の統合先と、会員番号2番の統合元があるとしますと、2番の情報を1番の情報に付け替えてしまう事を指します。
ハ.再集計
再集計は、サマリ情報をロ.付替した後の統合先情報で再計算する事を指します。
サマリだけではなく、一部隠れサマリ情報もあるので注意です。例えば、拡張情報のランクのような情報を指します。
ニ.対象外
対象外には2つあります。
1つめは7.高揮発性情報のように統合価値の無い情報は、統合元情報を消す事を指します。
2つめは、例えばアマゾンのリコメンドのように会員の嗜好を貯めておくデータは、統合元と統合先で重複する可能性があります。この場合、単純な付替や選択では統合できず、論理和のように重複を片方排除するようなロジックが必要になります。
このようにデータの種類によってケースバイケースが発生する事を指します。
1つめは消す、という単純なロジックでいいので自動化できますが、2つめはイレギュラー処理として、システム上作り込みが発生する部分です。
これで会員情報の分類分けと、統合ルールの整理が終わりました。
後編では、会員情報ごとの統合ルールの紐付けを解説します。
これは12月11日、師走のスコールがあった日の夕焼けです。
雲の切れ間から南国のような夕日が差し込み、街が輝いています。不思議な光景。